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2010.10.14 『イタズラなKiss』付録~スンジョの日記~その12
またもや自信なしorz…だけど、えいっ!とUPしちゃいます。
先に本編を見るか、読んでいただけるなら12話レビューを先にお願いします。絶対その方がいいです。


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“もう家に帰ってきなさいよ
皆一緒に仲よく集まって暮らしたい母さんの夢はどうなるの?
ハニにもう少し優しくしなさい。
自分のせいであんたが家を出たんじゃないかって、気にしてるじゃないの”


母さんはいつもハニを心配なさってるんですね。
でもご心配いりません。
ハニもいつか逞しく自分の道を見つけますから。
あいつは意外に強い奴なんです。


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“僕の人生は僕が決めます。
父さん母さんの決定には左右されません。
ハニのことも僕の意見を訊かずに、また家に呼び戻したじゃありませんか。
だから母さんの好きにしてください”

母さん、あなたが手に余ります。
僕を、思い通りにしようと思わないでほしいです。
それが仮に愛情だとしても…

小さいころから僕は、あの女装事件以来友達にからかわれて
ひとりぼっちになりました。
それに天才なのか、同じ年頃の子達より知ってることが多くて、変わった奴だという扱いを受けました。

そうして僕はいつの間にか、言葉を失くしていきました。
知っていることを話しても受けれられない場所で。
僕が男で残念だと、いつもおっしゃる母さんの前で
僕は自分を出すことが、とても大変でした。

これからは自分を見つけます。
誰の助けがなくても真っ直ぐに生きていける自分だけ世界。
誰にも左右されることのない、しっかりした自分だけの世界。



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ヒュッと、風の音と共にハニが出ていってしまった。

拗ねたか?
カノジョだと言ってやらなかったから?

まだ少し、難しいんだ。
人前で何か自分を表現したり、説明するのは。

俺のこともお前のこともよく知らない奴らの前で
俺たちのことを話すのは嫌だ。

彼らは自分勝手に話を編集して
もしかしたら、他でもなくお前と俺は、話のネタになるんだろう。
あちらこちらで言いふらして。
事実でもないことが歪曲されて、受ける傷を知っているから。

でもお前は、俺の心の中にいつも一つしかない場所を所有してるのに。

誰にも話せない、俺の悩みを打ち明けられる
ただ一つの場所。

それがお前なんだ。オ・ハニ…


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正しいのか?
俺の決定は…

医大に行きたいというこの気持ちは純粋なものだろうか。

会社の経営を学べと言う父さん。
医大に行けばいいと言うハニ。

両親の決定に左右されまいとする俺は、どうしてハニの意見には左右されるのか。

ペク・スンジョあんたは何でもできるじゃない!
医者になってノリの病気も治してあげて、世の中の沢山の人を助けてあげたらいいじゃない!!

俺を信じる輝きにあふれた目で、俺のすべきことを教えてくれた
あの夜のお前を忘れられない。

あれ以来俺は少しずつ、ひそかに医学を勉強しはじめた。
それは興味深くて、これまでした勉強よりもずい分新しい分野で
知っていく楽しみが大きい。

だから俺はこの道を選ぶ。
お前が教えてくれた道。


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“…なにか悩みがあるの?私が手伝ってあげるよ”

お前に手伝ってもらえることなら良かったな。
俺の表情が暗いのを見て、こうして来たんだろ。
お前のアンテナはいつも俺に向けて立ってるんだろ?

それなら悩み相談でもちょっとしてみるか?
我が友、オ・ハニ!

“俺は医学部に行くつもりだ。
俺に合うか合わないか分からないけど、初めて興味を持った分野なんだ”

私が頼んだとおりに?私の言ったこと覚えてたの?

そう言って喜ぶかと思ったのに…

自分が言ったという事実も忘れてるんだな。
やっぱり…お前はバカだ。

お前の言ったことすべてに、意味があるのに。
全部覚えているのに。

俺にはすべきことがあると、
自分は楽しく、人は幸せに…
医者になってノリを治してあげて、と言ったこと。

お前の言葉のせいで、俺の人生は変わって、
お前はこんなにも俺に意味を与えてくれたのに。


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ぼんやりよそ見をしていたオ・ハニが自転車をベンチにぶつけた。

“相変わらずだな、おっちょこちょいオ・ハニ~”

友達は皆やりたいことを見つけたと言う表情がどこか
寂しそうに見えて、今日はお前の話を少し聴いてやりたかった。
数日前にお前が俺の話しを聴いてくれたように…

“話してみろ。お前の夢も聞いてやる”

“あのさ…あんたは小さな村の医者でね。私はそれを手伝う看護師。私はあんたを手伝って一生懸命働くの。泣いてる子をあやしたりしながら”

“でもね?この夢には問題があるんだ。
スンジョ、あんたがパイロットになりたいって言えば、私はスチュワーデスになりたいの。
プロゴルファーになるなら、私はキャディーになりたくて、
結局そんなふうに簡単で、変わりやすいものなの”

“私はただ、ペク・スンジョを中心にまわってるだけ。
私っていう存在はなんでもないのよ”

申し訳なさそうに、恥ずかしそうにお前は言ったが、俺は実は気分がよかった。
お前の夢の中の、どこにでも俺がいること。

だけどあいつの成績で看護大に行けるか?

“まぁ夢は叶えるのが難しいほど、やりがいがあるものじゃないか。だろ?”

あいつの肩をドンドンと叩いてやった。

お前が俺にしてくれたように…
試験を受けに行く日、頑張れ~!と言い、そうしてくれたように。
海辺に行く車の中で、笑いながらそうしたように。
ぬいぐるみを取った時のように。

そんなふうにお前はいつも俺の心をノックした。
俺も今日は、お前の境界をノックしてみる。

オ・ハニ、ファイト!
お前の夢がきっと叶うように願うよ。
苦しくてもノアのかたつむり、オ・ハニだから。

待つよ。お前と俺、同じ白い服を着るその日を。



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“スンジョ!お前は自分の将来を私に相談なしに決めたのか?”

父さんはずい分怒った様子で。

いつも静かに話す父さんの言葉の中に、怒りがこめられていた。

“自分のしたいことに人生を賭けてみたいんです”

“父さんの会社を継がないということか?”

“僕は医者になります。父さんの会社を継ぐつもりはありません”

断固として、冷たく父さんの意見を無視して言った。

いつもそうであるように、父さんが考える人生計画は僕のものではないから。


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でも、いくらそうは言っても。
そんなふうに冷酷に、父さんの話しを拒否するつもりはなかったのに…

後悔に襲われた。
放った冷たい言葉が刃になり、父さんを突き刺し、俺を刺した。

胸を押さえて倒れた父さんを見て、
初めて、父さんを失うこともあるのだと自覚した。

こんなにも穏やかに優しい人が
いつも俺達を見て、微笑んでいてくれた人が
どんなに冷たくふるまっても、いつも味方になってくれた人が…
心強い大木のように家族を守ってくださった方が
いつかは傍にいなくなる日が来るということ。

怖れが…
全身に絡みついて、きつく俺の首を絞めた。



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書類が山のようだ。

父さんはいつもこのくらい働いていらっしゃったんだな。
毎日、一日も休むことなく。

いつも帰りの遅かった父さん。
疲れたように落ちたその肩を、どうして一度も叩いてやれなかったのか。

辛そうですね。
僕に出来ることはありませんか。
なぜそう一言、言ってやれなかったのか。

あんなふう冷やかに言わないで、どうしてもっと、優しく…

俺は本当に悪い奴だ。
今更の自覚が、恥ずかしい
本当に天才か?



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またそれかよ。
新婚夫婦ごっこ!

超ポジティブ少女オ・ハニらしいな。
こんな状況でも楽しく暮らすんだ、お前は。

ありがとな。こうして俺が笑えるように
面白くない会社の仕事を一日中しても、お前のことを考えれば笑って、
あまりに多い書類に頭が痛くて、窓の外に目をやれば
あたふたと不器用に、でも一生懸命家事をしている
お前の姿を思って、また笑った。

料理して洗濯して掃除して、学校へ行くのは大変だろうに
不慣れなことばかりだろうに
いつも明るい顔で最善を尽くすお前が、ありがたい。

時々俺もこんな想像をする。
俺が新郎になって、お前が新婦になったらどうかな。

楽しいか?多分思いもよらないことをたくさん経験するだろうな。


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そうだ、俺が考える、思いもよらないことっていうのが、まさしくこれだ。
火の通りきらない里芋を食べなければならないこと。
言いようもなく塩辛いテンジャンチゲを食べなくてはならないこと。

里芋を初めに食べた。
生のジャガイモを噛んでるようでもあり、がりがりと音がして、心地いいものではない。

でも食べてやらなくちゃ。
あいつが苦労して作ったんだから。

食べなければまたどれだけ傷つくか。
その優しい目じりがもっと下がるだろ。

ウンジョにもまたいじめられるかな。

俺はお前がやけに心配になる。

お前が家を出ていた間、家事をしていたが
楽なことではないと知った。
お前のいない空白が気にかかった。

だから今、俺の隣にいるお前をもっと、大事に思う。


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社内食堂で食べるからと言っても、弁当を持たされた。

“朝早くから作ったのに…”
そう言って必死に頼むから、とても受けとらずにはいられなかった。
その気持ちを無視することはできなくて、俺は不安な気持ちで弁当を受け取った。
確かに朝早くからばたばたとしてる音は聞こえたようだから。

ハート型の卵焼きが可愛いくはあるけど
味はどうだか。
ありったけ見た目に神経を注いで作ったようで、そこがまた不安だ。

“恋人が作ってくれたんですか?”

部長の言葉に、どうして違うと言えなかったのか…

もう他人に、違うとは言えないくらい
お前が俺の中に大きく存在するということか?


ポン・ジュングが鰻弁当を置いて、ハニ特製弁当を奪っていった。

ポン・ジュング…
今日、お前はオ・ハニの実態を知ることになるんだ。
おそらく幻想が壊れる瞬間が、すごく魅力的なはずだ。



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“もしかしたら父さんが手術することになるかもしれない
当分は俺が会社に行かなくちゃいけないみたいだ”

ぽつりぽつりと口から出る言葉が、自分のものでなければいいと思った。
でもどうしようもない現実を前に、俺は無気力だった。

“じゃあ医大に行くって言ったのは?”
“初めてじゃない。何かをしたいって。あんたの夢!”

そうだ。俺も一瞬夢を見た。
ある夏の夜の蜃気楼のように消えてしまった、つらい夢。

消えてしまったその夢に、俺は努めて言い訳する。

“俺は楽しくないが、会社を継ぐと言えば父さんは幸せなはずだ”

そうだ。半分でも成功すればいい…

俺は楽しくないが…

“スンジョ、どうしよう。どうしたらいい?”

お前の悲しい声に、今日は慰められた。

俺の悲しみを俺自身よりも悲しんでくれるお前が…
お前の瞳に滲む涙が…

慰めになり、
いっぱいに心を満たして、いつのまにか悲しみを和らげてくれた。

一緒に悲しんだこの夜に

星たちも眠れず…

お前も俺も眠れずに…



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“会長のお孫さんがいらっしゃるんですが、一度会ってみるつもりはないかと…”

資金援助してくれるという条件で、持ちあがった見合い話。

事業をしていればよくある政略結婚は、こんなふうにして成り立つのか。
金と金が出会い、
利益と利益が出会う、このくだらないことを俺もしなくてはいけないのか。

会社を救うために?
軽蔑していたことを、俺自身がしなければならない…

まったく…世の中が思い通りにならないということ
孤高なふりをしても、ふりかかる汚水は避けられないということに、気がついた。

父さんも苦しかったのだろうか。
1人で、こんなふうに…
解決できない問題と、どれほど多くの怖れと、闘ってきたのだろうか。


男というのは、家長という人生の錘が重すぎて窒息しそうだ。



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どうしたらいい。

お前は今日も俺たち家族のために頑張るのに
俺はお前を捨てる準備をしなければならないなんて…

どうするんだ、俺は…

父さんにつけてしまった傷が大きすぎて、どうしようもない。
俺のせいでショックを受けて倒れた父さんに、申し訳なくて。

父さんの夢を、
長い間父さんが流してきた汗を、知らないふりはできないから
俺に期待している社員たち…
母さんとウンジョ…

お前をどうしたらいい?
ハニ…

どうしようもなくお前に傾く俺の心を、どうしたらいい?

俺の胸の中で、今生まれたばかりの、一羽の鳥が血を流す。

痛い。

とても。



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もう決めたんだ。

お前を捨てること。

美しい思い出をすべて、消し去ること。

大丈夫。
大丈夫なはずだ。

たった2年だ。あいつとの思い出。

忘れればいい。
忘れられる。

俺の心にはケリをつける。

水に濡れた紙のように千切れる、この心に。













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